2025.12.152025.12.14

お料理が絶品の「リプロ・さいたま子ども食堂」で温かいご飯を食べよう!

さいたま市内の新たなコミュニティ拠点として「リプロ・さいたま子ども食堂」がオープンしました。

この食堂は、さいたま市で不動産や建築を手がけるリプログループが、持っていたコミュニティスペースを「地域に役立てたい」という想いから、子ども食堂の専門家であるNPO法人チアーズのKAO(本間)さんと協力して開設しました。

ドアを開けて地下1階へ降りると、木の温もりと美味しい香りにふわりと包まれます。ここは、みんなでワイワイ食卓を囲める新しいコミュニティ拠点「リプロ・さいたま子ども食堂」です。

コンセプトは「誰もが笑顔になれる、陽気なイタリアン食堂」。

大人も子どもも思わず「行ってみたい!」と心が弾む、この新しい居場所の魅力をご紹介します。

リプロ・さいたま子ども食堂とは?

主催するのは、現役の建築士のKAOさんです。かつては働きながら2人の子どもを育て上げた「働くママ」の先輩でもあります。埼玉県内で最も歴史ある子ども食堂の主催者であり、これまでに県内で50以上の団体の立ち上げを支援してきた、いわば「子ども食堂のスペシャリスト」です。

「誰でも来ていい、みんなの居場所」をモットーに、困窮家庭だけでなく、地域の子どもから大人まで、誰もが気軽に集える「オープン型」の食堂を目指しています。そんなコンセプトに共感した地元企業や地域住民の方々から寄付の食材がどんどん集まってきています!

さて、どんな料理が振る舞われるのでしょうか。気になりますね。

その日の献立は、寄付された食材や買い出しの状況をふまえ、数日前から準備が始まります。例えばカレー。子どもの食事といえばカレーライスのイメージが強いですが、KAOさんの食堂では「普通のカレー」は出しません。そこには、働くお母さんへの深い配慮がありました。

「土日に子ども食堂でカレーを食べちゃうと、忙しいお母さんが月曜や火曜に残業する時、作り置きの定番であるカレーを出しにくくなってしまうでしょ?」

だからこそ、KAOさんは、家ではなかなか作らないような、グリーンカレーやトマトカレーといった、手間のかかるカレーを提供しています。

自家製コチュジャンを使った「ビビンバ丼」が振る舞われることもあります。父兄からレシピを教えてほしいと問い合わせがくるほど、美味しいそうです。

こうして、子どもたちが「これ何?おいしい!」と目を輝かせる料理が、「リプロ・さいたま子ども食堂」最大の特徴なのです。

ここでは、子どもがお客様扱いされません。「自分が食べたものは自分で片付ける。これは私のポリシーです」とKAOさんは語ります。

子どもたちには、盛り付けの手伝いはもちろん、食後の食器洗い、テーブル拭き、そして時にはトイレ掃除まで分担してもらいます。美味しいご飯をお腹いっぱい食べるだけでなく、生活力やボランティア精神を育む「学びの場」でもあるのです。

祝オープン!会食型への熱い思い

2025年12月にオープンした「リプロ・さいたま子ども食堂」の初日の様子をご紹介します。

今回のオープン記念イベントでは、ケンタッキーによる出張授業を開催!ケンタッキーからやってきたお兄さんが、クイズを交えながら楽しい授業を進めてくれました。

さらにテーブルでは、フライドチキンの食材をアレンジした、本格的な「パエリア」づくりがスタート!

冷凍したケンタッキーフライドチキンを食材の一つとしてアレンジするのが特徴です。

そして、子どもたちと一緒にフライパンでご飯を炊き、食材を入れてパエリア作りを進めます。

みんな、出来上がるのが待ち遠しくてたまりません(笑)。

そして完成したパエリアに子どもたちの目の色も変わります!

いよいよ実食!子どもたちは待ちきれない様子で、大きな口をあけてパクッ。出来立てだから「ちょっと熱い!」と顔をほころばせながらも、次のひと口へ手が伸びます。

デザートのバナナをお口に入れて記念写真!

最後は、ひとりの女の子が元気いっぱいに「ごちそうさまでした!」と挨拶し、体験はほっこりとした雰囲気のまま締めくくられました。

こんなワクワクする体験メニューが楽しめるのも、子ども食堂ならではです。

建築士・KAOさんのこだわり!

「リプロ・さいたま子ども食堂」には、建築士であるKAOさんの知恵と工夫が随所に散りばめられています。ご紹介しましょう。

①もしもの時の「防災倉庫」

食堂には、防災備蓄倉庫としての機能も持たせました。都内へ通勤する保護者が、大地震などで帰宅困難になった際、子どもたちを一時的に預かれるよう、50人分の食料や生理用品などを備蓄。「地域の防災拠点」としての役割も担います。

②ぬくもり溢れる「兄弟木のテーブル」

食事をする4台の大きなテーブルは、KAOさんが父のように慕う材木屋さんから見繕った「紀州杉」で作られました。これらはすべて同じ一本の大木から切り出された「兄弟木」。木の温もりに触れながら、ご飯を食べたり、トランプやオセロで遊んだりしてほしいという願いが込められています。

③お昼寝もできる「床座(ゆかざ)

靴を脱いで上がれる「床座」のスペースも用意しました。 赤ちゃんのおむつ替えや、お昼寝でゴロゴロするのはもちろん、将棋や囲碁の盤も完備。地域のおじいちゃん、おばあちゃんに先生になってもらい、多世代が交流できる空間を目指しています。

④みんなで作る「本棚」

壁面には、KAOさんが設計した大きな本棚が設置されています。しかし、今はまだ空っぽです。ここを「まちかど図書館」にするのが次の目標です。

本棚をいっぱいにしたい(寄付のお願い)

現在、この本棚を埋めるための本を募集しています。お子さんが大きくなって読まなくなった絵本、図鑑、参考書など、地域に眠っている本があれば、ぜひ寄付をお願いします。

リプロマヴィも4冊を寄付してきました。子どもたちが自由に手に取って楽しめる図書館を、みんなの手で作り上げましょう。

「制服バンク」を始めます

さらに2026年からは「制服バンク」も始動します。経済的な理由で、中学の制服のまま高校に通う子も少なくありません。卒業して不要になった高校の制服やワイシャツなどを集め、必要とするご家庭に届ける仕組みを作ります。

こども食堂の心温まるエピソード

「リプロ・さいたま子ども食堂は、子どもにとってのサードプレイス(第三の居場所)でありたい」と語るKAOさん。学校でも家庭でもない、地域のみんなに見守られた安心できる場所です。

最後に一つ、子ども食堂ならではの心温まるエピソードをご紹介しましょう。これは、KAOさんが主催している別の子ども食堂でのお話です。

ある男の子は「KAOさんの豚汁は世界一」と口にするほど、この豚汁が大好きでした。食堂を訪れては、それを励みに勉強を頑張りました。ある時、それまで学年4位だった成績が1位に!喜んだKAOさんが「1位になったご褒美に何が食べたい?」と聞くと、彼は迷わず「お腹いっぱいの豚汁!」と答えたそうです。一緒に食卓を囲み、関係性を築いてきたからこそ生まれるエピソード。KAOさんが作るご飯には、子どもたちの力を引き出す不思議なパワーがあるのかもしれませんね。

さあ、木曜日に「リプロ・さいたま子ども食堂」の扉を開ければ、美味しい匂いとKAOさんの「おかえり!」という明るい声が待っています。

「リプロ・さいたま子ども食堂」
内容:会食、パントリー、遊びの場、学習の場
住所:さいたま市中央区上落合3丁目3−2 リプロコミュニティープラザ新都心内食堂
電話:048-789-7340(申し込みはお電話)
費用:1家族1,000円
定員:40名
注意:アレルギー対策はしておりません。
主催:NPO法人チアーズ(さいたま子ども食堂)

この記事を書いた人いとうゆうすけ

人にフォーカスした取材記事を好みます。
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